マーケティングというと小難しい気がする
そんな喰わず嫌いを打破するために、「1分間コトラー」を読んだ感想を介護事業に読み替えてみるシリーズ
ま、僕の煩悩と妄想には変わりないので、マーケティングの入り口として、気軽に読んで欲しい
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[rakuten no=”9784797366006″ shop=”book” kw=”1分間コトラー 顧客を虜にする戦略的マーケティング77の原則 西村克己”]
1分間コトラー
050
中途半端は落とし穴である。
すべての戦略を遂行できるほど資金に余裕はない。
P・コトラー
簡単に言うと
二兎追うものは一兎も得ず
ひとつの戦略に資金を集中しろという事だ
アレも、コレもと手を出してたら、いくら優秀な社員がいてもその力が分散して中途半端になってしまう
意外にわかりやすいのが外食産業
一品料理が多い
ラーメン、牛丼、カレー、パスタ、とんかつ、焼肉 etc
ファミレスのガストだって売りはハンバーグ
メインの料理に絞って事業展開し、乗ってきたら付随するメニューを増やしていく戦法
定食屋だって「お母さんの味」というキラーコンテンツを持ってる
(たまに増やしすぎて訳わからなくなってるトコもあるが・・・)
他の産業でも、このメーカーと言えばコレ!って商品がある
これらはすべてその企業の戦略だ
介護福祉業界といえばどうだろうか?
例えばデイサービス
リハビリ特化型、認知症特化型、重度専門型、予防専門型などオーソドックスなデイサービスは少なくなってきている
なぜ○○特化型が増えているのか?
自宅から日中に事業所へ通い、リハビリや食事、入浴などのケアを受ける
どの事業所も基本的なことは変わらない
では何が特化しているということなのか?
顧客=ご利用者のニーズに特化しているのである
・リハビリをメインでケアを受けたい
・認知症の進行を予防したい
・重度でも在宅で生活がしたい
・体の機能が悪化しないようにしたい
これらのニーズへの対応に特化しているわけだ
介護保険事業は価格で差別化を図りにくい制度上の問題がある
戦略として、ニーズ別に特化することで差別化を図っている
オーソドックスなデイサービスにだって、その他の特化型に負けない何らかの価値を、自らが提供するサービスに見出すことは可能だ
ただし!
何かに特化するには、そのニーズへの対応を専門的に行わなければならない
ただでさえ人手不足のこの業界で、安易に複数の特化型に手を出すと、職員の力が分散され、失敗する可能性が高い
先ずは、今の事業所の中で、自分たちの提供するケアの価値を高め、それを戦略として特化することが、差別化=価値を高める早道だろう
051
顧客は広告費を負担している。
そして誰もが同じものを寄り低価格で購入したいと思っている。
P・コトラー
広告といえばテレビCM
以前より効果は少ないといわれて久しいが、いまだに大量の広告費を使って、大量の広告がテレビで流されている
コトラー博士は、商品を知るきっかけにテレビCMは効果あるかもしれないが、購入を決断する材料にはならない。今はネットで検索し、レビューを読み、最終的には家族や友人などからの情報が決断材料になっている。と云う
確かに僕だって、何かを買うときにネットで検索をする
そしてその検索するきっかけはSNSだったりする
最終的に直接会える家族や友人だけではなく、SNSで情報を集めて決断することが多い
「今まではうまくいった」
こういった理由で広告費を使っていると、時代に取り残されていく
そう、amazon に一般の書店が勝てない理由だ
介護福祉業界だと同だろう?
残念ながら、恐らく真逆だ
テレビで老人ホームのCMなんてたまにしか見かけない
一時はコンビニの店舗数より多かったデイサービスのCMなんて、ほとんどみたことない
そもそも介護福祉業界に「広告」という概念が薄い
新聞チラシや、投函チラシなどはよく見かけるが、大金叩いてテレビCMなど必要性を感じてないのだろう
それは何故か?
「今までは広告費使わなくても大丈夫だったから」
だから「広告」に関するノウハウがない
ノウハウがない事で、何に困っているのか?
求人だ
福祉介護系のセミナーで、最近一番目にするのが求人セミナー
人手不足だから、もっと良い方法で求人を募りたい
そう考えている事業者マシだ
恐らく大半の事業所が、どうやって求人を募ったら良いのかわからないというのが現状だろう
ウチの法人も、求人には大変苦労している
今年に入り、「ガチ」の広報委員会が立ち上がった
若手中心に、SNSを利用した広報活動を担ってもらう
さて、広報委員会を通じて、若手たちがどう成長していくか楽しみだ
介護福祉業界の皆さん!広告に力入れないと時代に取り残されますよ!
052
顧客や社員を満足させられないくらいなら、事業を閉じたほうがましというものだ。
P・コトラー
意外に社員の満足に対して、疎い企業が多い
らしい・・・
「我々の顧客は誰か」
ドラッカー博士の5つの質問のひとつだ
[rakuten no=”9784866670393″ shop=”book” kw=”ドラッカー5つの質問 山下淳一郎”]
コトラー博士はこう言っている
企業は顧客と社員に最大限配慮しなければならない。
答えは出た
我々の顧客は
「買ってくれる人」
と
「働いてくれる人」
介護福祉業界も同じだ
買ってくれる人=サービスを利用してくれるご利用者
働いてくれる人=自事業所の職員たち
ただ、介護福祉業界ではまだまだ 顧客=ご利用者という概念が薄い
だから、顧客=職員という図式が想像すらできないのだろう
職員がいなければ、事業は成り立たない
昨年の11月頃に鹿児島の有料老人ホームで6人のご利用者が亡くなる事件は記憶にあるだろうか
原因は介護職全員が退職し、施設長一人で運営していた結果だ
本来命を守る側の事業所が、こんな状況では目も当てられない
職員が全員退職した理由はわからないが、その事業所が引き起こした結果だ
コトラー博士言う通り、事業所を閉じたほうが良かっただろう
この施設長は入居しているご利用者を、普通に機能している施設へ移っていただくことに尽力すべきだった
一人で夜勤をしていたと報道されていたが、責任感の勘違いも甚だしい
皆さん、自分のトコの職員を満足させられていますか?
まとめ
いかがだっただろうか?
これからの介護福祉業界の最大の課題は「人員確保」
そのために必要な知識、ノウハウを獲得した事業所が勝ち組になるだろう
そしてそれこそが、介護を、我々を必要としている方々の幸福へ繋がる
関わるすべてのご利用者の幸せのためにも、マーケティングの知識を持ってほしい
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