マーケティングというと小難しい気がする
そんな喰わず嫌いを打破するために、「1分間コトラー」を読んだ感想を介護事業に読み替えてみるシリーズ
ま、僕の煩悩と妄想には変わりないので、マーケティングの入り口として、気軽に読んで欲しい
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1分間コトラー
036
企業はしばしば、市場が2~3年ごとに変化することを見落としている。
P・コトラー
IT企業の世界だから市場の変化スピードが速い
そう思われがちだが、すべての産業においてここ数年の市場変化のスピードは驚異的だ
例えばエネルギー産業は、自由化による需要供給の変化、再生エネルギーの急速な発展などはメディアなどで良く耳にする
また、自動車産業は自動運転の話題で持ちきりだ
特に昨今は日本が遅れていたキャッシュレスの世界が、その市場の縄張り争いで大戦争状態となっている
今多くの国民が情報を収集するのに欠かせないスマートフォン
スマホも Android、i-phoneともに日本発売開始は2008年
10年前のスマホと今のスマホでは、性能も、使用用途も大幅に変化している
遂には小学生にまで、プログラミングを教えようとしている
(教えないといけない教師には、同情してしまう状況だが・・・)
介護福祉の世界も変化のスピードは速い
そもそも介護保険は3年に1回、制度改正が行われている
平成12年発足当時のコード数は約400あったのが、今では3,000種類を超えている
なぜサービスの種類が増えたり、加算の算定状況がこんなにも多く変わるのか
市場のニーズが変化しているから
これに尽きるだろう
制度発足当初は埋もれていたニーズが、介護保険が広まり、多くのケアマネたちがマーケティングした結果、多種多様なニーズが掘り起こされてきたのであろう
多くのケアマネは独立型、併設型問わず、色々なニーズに対して有効なサービスを、色々な事業所から選んでいる
そこに注目して欲しい
事業運営者などの権限があるものは、ケアマネにインタビューするべきだ
地域で活動しているケアマネほど、地域のニーズを知っているものはいない
ニーズを知っているからこそ、今必要とされているサービスを理解している
運営者や管理者等も元ケアマネが多く存在しているだろうが、3年に1度の制度改正をはさめば、現役の頃にリサーチした情報は大きく変わっている
スピーディーな市場の変化を見落とさないために必要なこと
それは、ケアマネに聞けばいいのである
037
世界は機会に満ちあふれている。
まずは問題を見つけることだ。
P・コトラー
機会と問題は、隣りあわせだ
何か問題があり、それを克服したとき、イノベーションが起こる
そしてそれは機会=チャンス
問題を避けたり、問題から逃げていては機会にめぐり合えない
機会はすべて、問題が出発点なのだから
これは何も、企業だけの話ではない
個人における仕事も、プライベートも同じだ
例えば苦手な人がいたとする
そしてその方はご利用者だ
あの人苦手だなぁ・・・
できれば関わりたくないなぁ・・・
苦手意識
それは誰にもある
でも、そもそもなぜ苦手なのかを考えたことはあるだろうか?
自分が苦手と思っている相手は、自分のことをどう思っているのか、客観的に、俯瞰的に、相手目線で自分自身を振り返ったことはあるだろうか?
意外に、一方的な思い込みの場合が多い
えてしてその思い込みは、「~だろうから」で起きてない事象を想定している
リスクに備えるという意味では、それも必要だろう
プライベートな人間関係ならばよいが、仕事ならそういうわけには行かない
あの子は、何か私を避けてる・・・
私のことが嫌いなのか・・・
あの子には何も頼めないな
こちらが苦手なら、相手もそれを敏感に感じ取っているだろう
介護の仕事は常に相手との距離感を意識しないといけない
大変だ・・・
僕だって聖職者ではないので、苦手な人もいる
できれば、関わりたくないと思う
ケアマネしていると尚更だ
でもケアマネは逃げるわけにはいかないし、避けていたら、給料も無くなる
そんな時僕はこう考えている
何か妥協点あるかな?
どんな言葉に反応しているのかな?
どんな人を気に入ってるんだろう?
単純な発想だ
自分が苦手な人は、相手も自分のこと苦手だと思っている
お互い苦手だといってるわけにもいかないから、気に入られている人のマネをしてみよう
これだけ www
僕は面倒くさがり
好きなこと意外はやりたくない
だから、どうすれば好きなことできるようになるのか考える
いつも楽したいから、どうすれば楽に仕事が進められるか考える
介護福祉の仕事は対人援助
人の心にアプローチするのが仕事
だから自分の心にもアプローチしてみよう
苦手な人が、どんどん減ってくるはず
038
必要のあるところに、必ずチャンスは存在する。
P・コトラー
良く聞く話
でも、意外に出来ていないことだ
037にも通ずる
市場の新規開拓に必要な考え方だ
「必要のあるところ」とはドコだろう
そこは「問題が起きている」所だろう
もしかすると「問題」という認識すらないところかもしれない
コトラー博士が紹介している例がわかりやすい
ある島に派遣された靴メーカーの3人の話
A:島の人は靴をはいていない、
ここでは靴は売れないだろう
B:島の人は靴をはいていない、
ものすごい市場だ
C:島の人は靴をはいていない、
足に問題を抱えている
部族長に靴を履くことで足の問題が
解決できると提案した
すると島の7割の人が、10ドルで靴を
買うと見込みを示した
もしその通りに行けば、5,000足を販売し、
初年度で2万ドルの利益が上げられる
同じ情報に触れても、これくらい違う
Aは機会を見出せなかった
Bは機会は見出せたが、戦略が無かった
Cは機会を見出した上、
戦略と戦術提案も行った
これは介護福祉の世界で大いに役立つ
ある利用者の相談を受け付ける
・自分でスーパーに行けず困っている
さてどうする?
A:じゃスーパー行かなくても生活に
困らないようにヘルパー使いましょう
B:自分でスーパーに行きたいのですよね?
でも、歩けなくて困っているという事
ですか?
では、車いす借りて楽に行けるように
考えましょう
C:スーパーに行けないのは、足が痛い
のですか?
それとも体力や筋力の問題ですか?
お買い物をしたものを運ぶことが問題
ですか?
病院での足の状態を見てもらって、
リハビリしてみましょう
そしてスーパーまで自分で歩けるようになるまで、
ヘルパーさんに頼みましょう
ご自分でスーパーまでいけるようになったら、
荷物を運びやすい方法を考えましょう
A:たぶん、歩けなくなる
B:車いす借りて、スーパーまで行けても、
たぶん歩けなくなる
C:ちゃんと病院で先生の専門的アドバイス受けられる
リハビリの目標をスーパーまで歩けるようになる
だから、たぶん歩けるようになる
こんな感じですな
A案は問題外として、B案で止まっているケースも案外いる
C案を提案してくるケアマネに出逢えれば、その方は自分の希望の暮らしを取り戻せる
しっかりご利用者さんを見てますか?
そして生活の困りごとを、希望に変えてますか?
039
決意と目標を区別することだ。
P・コトラー
決意と目標が違う?
どういう事?
決意とは自分の意思を決めること
目標はゴール(=目的)に向かう道しるべ
決意は案外ふわふわしやすい
今年こそは痩せるぞ!
といって、痩せた人はほとんどいないだろう www
(僕は思ったことすらない・・・)
理由は簡単
具体的じゃないから
この決意に、例えば
今年は5キロ痩せて、カッコ良い服を着る
となると「 カッコ良い服を着る」 という目的があり
5キロという具体的な目標がある
これなら、痩せられるだろう
*あくまで例です www
ケアプランを作成するときに、特に意識して欲しい内容だ
介護保険を利用する目的
その目的を達成するための目標
その目標を達成する点に必要な手段
そして実際その目的達成に向かっているかの確認
ここは長くなるので、後日記事に書こうと思う
040
マーケティングは、われわれが1.0、2.0、3.0と呼ぶ3段階の進化を遂げてきた。
P・コトラー
マーケティングは普遍の原理原則ではない
時代の流れ=ニーズに応じて変化する理論や手法だ
マーケティング 3.0 を簡単に図で表してみよう
ネットで検索するとたくさん情報が出てくるので、簡単にまとめてみた
1.0 製造販売
2.0 製造販売 + ニーズ
3.0 製造販売 + ニーズ + 価値観、体験
「顧客中心」と「人間中心」は同じように思えるが違う
「顧客中心」はモノを持つ時代から、必要なニーズに応える時代になった
「人間中心」になると、価値ある体験を通して人は動いているということ
ニーズの変化は、社会がもたらす欲求である
人間の欲求は貪欲だ
しかし、まだまだ未成熟である
そしてまた次への段階と入っていく
介護福祉の世界も同じように変化している
常に時代の変化を読み取り、その時代にあったサービスを提供せねばなるまい
わかりやすく例えるとデイサービス
制度設計自体を見直さないといけない
ご利用時間:9:30~16:30
デイサービスのスタンダードな営業時間だ
何を見直さないといけないのか?
この営業時間って、自宅に誰かいる事が前提
介護保険発足当初の19年前は、それでよかったのだろう
しかし、1億総活躍を詠われる時代
8:30~17:30
この時間に就労している人が多い
もう時代に合っていないのである
だから先に手を打つ人たちがいる
介護イノベーションを起こしている人たちだ
漫然としていては、置いていかれるのである
まとめ
いかがだっただろうか
マーケティングの根本は人の欲求
対人援助の専門家である介護福祉業界こそ、マーケティングを学ぶ価値があるだろう
マーケティング論の実際は、コンサルタントなど仕事として成立するほどなので、簡単に理解できるわけではないし、僕自身もマーケティングの何たるかを理解しているわけではないが、このブログがマーケティングに興味を持つ入り口になっていただければ幸いである
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