マーケティングというと小難しい気がする
そんな喰わず嫌いを打破するために、「1分間コトラー」を読んだ感想を介護事業に読み替えてみるシリーズ
ま、僕の煩悩と妄想には変わりないので、マーケティングの入り口として、気軽に読んで欲しい
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1分間コトラー
031
どのようなプランでも、成功は約束されませんが、できの悪いプランでは失敗が決まったも同然でしょう。
P・コトラー
コトラーのマーケティングプランは6つのステップに分かれる
- 状況分析
- 目標
- 戦略
- 戦術
- 予算
- 管理
6つのステップを踏まえて練りこんだマーケティングプラン
しかし、必ずしも作成したプラン通りには行かない
戦略と戦術に整合性が無かったり、予算が合わなかったり・・・
修正する勇気が必要
常にプランの改善を求められる
ここで、ピン! 来た介護関係者は多いのでは?
この流れ、よく見るアレだ
ケアプラン
では早速上記6つのステップを、ケアプラン作成過程に読み替えてみよう
- 状況分析
⇒ アセスメント(課題分析)作成 - 目標
⇒ 利用者の目標設定 - 戦略
⇒ ケアプラン第1表作成
(総合的な援助の方針) - 戦術
⇒ ケアプラン第2表作成
(ニーズの選定、各サービス内容) - 予算
⇒ 提供票、利用票、各別表作成
(限度額管理、給付管理) - 管理
⇒ モニタリングの実施(評価)
僕がマーケティングの勉強しようと思った理由のひとつ
妄想の範囲でしかないが、介護保険の仕組みはマーケティングとマネジメントによってコンサルティングされていて、ケアプラン作成過程は、完全にマーケティング手法を取り入れているんだと思う
コンサルタントやマネジメントの各論は今後記事に書くとして、ケアマネジメントも良くできている
コトラーが論じている6つのステップは、まんまケアマネジメント
ケアマネジメントによるケアプランの作成は、僕も良く頭を悩ませる
よしできた!完璧じゃ!
と、担当者会議に臨んで、ご利用者やご家族、関係事業者などに説明していると
アレ?
俺は何が言いたいんだ?
となる www
数ヶ月上手くいってても、プランはご利用者にあわせて作っているので変化が出てくる
これで上手くいくと思っても、何度も修正し、サービス種別を変更したり、増やしたり、減らしたり、事業所変えたりしながら、最善と思われる Moreベター なプランを作成する
中には、頑なにプラン通り進めて!という強引なケアマネさんも存在するようだが、自分が作ったプランに、例えどれだけ自身があろうと(僕は全くないが・・・)修正する勇気と、提案する説得力が必要だ
特に新人さんは、ケアプラン作成後の修正や変更にビビリがちなので、中堅・ベテランさんはサポートしないとね!
032
自分たちこそ思いつくべきだったと悔しがるのは、多くの企業の宿命である。
P・コトラー
本当はウチが・・・
たくさんあるだろうね・・・
ソニーのウォークマン
NECのパカパカ携帯(ガラケー時代の憧れ)
そもそも日本の携帯メーカー全部
介護福祉業界は製品作ってるわけではないので、特に関係ない?
そんなことはない
介護福祉業界なら「ウチが先に事業所作るべきだった!」
って思うことがある
こんなトコに有料老人ホーム建てたって、上手くイカンだろ
なんてのほほーんとしてると、いつのまにやら利用者取られてるなんて社会福祉法人も多いのではないだろうか?
このシリーズで何度も書いてるが、介護福祉業界は「市場」という概念に疎い
通所介護事業=デイサービス なんて、同じサービス種別でも制度もどんどん変わるし、時代に合わせた個性的な事業所もたくさんある
そしてその変化はスピーディーだ
そういう事業所は常にアンテナ張って、「市場」を見てるわけだ
そのイノベーションの多くは、現場で生まれる
そして生まれたアイディアを活かす考え方が重要
みなさんは、現場の声に、「市場」の流れにアンテナ張ってますか?
033
マーケターは、明日のニーズを予見しようとする。
今日のニーズのみに神経を集中させるようなことはしない。
P・コトラー
目先だけを追うな、先を見ろ!
ってことだと思う
先の032では残念な代表でソニーのウォークマンを上げたが、実際、ウォークマンを世に出した頃のソニーはすごかった
正に明日のニーズを予見した結果が ウォークマン
先見の明
今の自分に満足してはいけない
常に明日の自分を想像する
何かどこかで聴いたような言葉だが、僕が良く思うことのひとつでもある
介護福祉業界では、ここで云うマーケターの役割を担う職種が明確ではないことが多い
事業所のトップの仕事と思い込んでもいけない
明日のニーズの予見は、現場で生まれる
だから常に現場を注視し、現場の声に耳を澄ましていないといけない
そして顧客であるご利用者の姿も見ないといけない
ドコに明日の予見のニーズが見出されるかわからないのだから
034
企業は、情報に関して2つの間違いを起こすことがある。
P・コトラー
間違いを起こす・・・
気になる言葉だ
この言葉には続きがある
つまり、集める情報が多すぎるか、少なすぎるかである。
情報は多いと整理できず、収拾がつかなくなりやすい
少ないと判断ができず、勘違いや失敗が増える
現代は情報の社会
以前コンサルタント研修を受講した時の講師がこんなことを言ってた
その昔コンサルタントが、何百万も頂いて話してた内容は、今では小学生でもネットで検索できる時代になった
だからこそ情報の質、自分が欲しい、必要な情報を取捨選択する目が必要だ
昨年、僕が参加している福祉介護イベント団体「フクシカケル」で
沖縄県高校・大学・地域連携福祉研究会
というイベントに、防災に関するブースを出した
そこには沖縄県内の福祉系列で介護を学ぶ高校生たちが多く参加していた
僕が担当したのは、実際に火事が起きたとき、介護事業所の職員はどうやってご利用者を避難させるのかという実演
良くある、ベッドマットごと引きずるという手法の紹介だ
その時に初めて知った介護技術がった
頭は三角、足は四角
介護職歴10年超えてるとわからないらしい言葉 www
ベッドマットへのシーツの張り方なんだそうだ
頭部はシーツを三角折にする ⇒ すぐに外せるように
芦川はシーツを四角折にする ⇒ 足元は座ったりと良く動く箇所だからズレにくいように
今の高校や専門学校では、このようにシーツ交換を教えてるらしい www
お恥ずかしい限り・・・
必要な情報をしっかり収集しなければならない典型だな
知識は使えて初めて智恵になる
その知識は情報やデータがもたらす
だからこそ、より良い情報を選んで収集しないとね!
035
予想しえる問題を把握できない企業は、現実に問題を抱えることになる。
P・コトラー
怖っ・・・
好機と脅威は表裏一体
ピンチの後にチャンスが来るのなら
チャンスの後にピンチが来るわけだ
好機に関しては、みな敏感に反応して波に乗るが、脅威に関しては小さい時に無視しがち
脅威に対して準備が出来ていなければ、実際に脅威に遭遇したときに対処できない
これをマーケティングでは SWOT分析 (スワット分析)という手法が重要な役割を果たす
強み
⇒ Strengths
ストレングス
弱み
⇒ Weaknesses
ウィークネス
好機
⇒ Opportunities
オパチュニティー
脅威
⇒ Threats
スリート(ツ)
4つの項目の関係性を表した図だ
あなたの強みは、その脅威に対して有効ですか?
あなたの弱みは、その機会に対して克服することは可能ですか?
SWOT分析を介護福祉の視点で眺めてみると・・・
これも何か聞き覚えがないだろうか?
特にケアマネージャー
ケアマネの研修などで良く耳にしているはずだ
本人の強み=ストレングスに着目してプランを作成する
よく言われますな!
でも、ちょっとわかりにくい・・・
だけどSWOT分析の表を知るだけでも変わってくる
そのご利用者の強みを活かして、介護保健サービスの機会を上手く活用できるか?
そのご利用者の強みを活かして、要介護度が悪化する脅威から、サービス利用への機会に転換することができるか?
どうだろう
ちょっとSWOT分析の相関図を意識するだけで、だいぶ考え方が変わる
ご利用者に対してだけでなく、サービス事業者の選定にも使える
「本人の強みに着目して」って言われるより、具体的にご利用者の強みを発見することができる
ケアマネの皆さん
プラン作成における思考過程に、マーケティング手法を使ってはどうですか?
まとめ
いかがだっただろうか
マーケティングの考え方や手法は、ケアマネジメントにかなり使えると思いませんか?
がっつり、本格的に学ばなくても、かなり有効な手法だと思いますよ
介護福祉もマーケティング論を駆使して、ご利用者の幸せに貢献しましょう
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